学校教育との連携をめざして⑥ 信州大学・渡邉綾 助教
本連載では、2000年代には全国の小学校の約8割で実施されていた農業体験学習が今日においていかに実施困難になっているのかを紹介してきました。
その一方で、学校教育制度からみれば、農業体験学習は「必ずしもやらなくてもよい」活動でもあります。
本連載では、2000年代には全国の小学校の約8割で実施されていた農業体験学習が今日においていかに実施困難になっているのかを紹介してきました。
その一方で、学校教育制度からみれば、農業体験学習は「必ずしもやらなくてもよい」活動でもあります。学校において教える内容・方法の指針を示す『学習指導要領』には、農業体験学習について明確な実施規定はありません。言ってしまえば、必ずしもやる必要のない教育活動なのです。
それでも00年代に小学校での実施率が約8割にも達し、現在でも約6割の学校で続けられているという事実は、それだけ学校現場の教員にとって、農業体験学習が子どもたちに学ばせたい重要な教育活動となっていることを示しています。
そもそも農業体験学習が注目され始めたのは、1980年代です。当時は農業後継者育成を目的とする農業政策の一環でした。その後、急速に都市化が進み、農業・農村の価値を都市住民や消費者に伝えるための都市農村交流活動へと目的を拡大していきました。また同時に、学校教育においても都市化によって子どもの自然体験の機会が減少していることへの危機感から農業体験学習が注目されるようになりました。特に90年代末以降には、体験学習重視の教育政策が本格的に進められたことで、農業体験学習は2000年代を中心に大きく広がりました。さらに、環境教育や食育の推進も、その広がりを後押ししたといえます。
このように農業体験学習は、制度上の確固たる基盤はないものの、農業政策や、学校教育制度・現場のさまざまな期待に応えながら広がってきた活動といえます。こうした背景を整理すると、農業体験学習は、農業や学校教育の制度・現場の課題と密接に関連してきたことがわかります。農業体験学習をどう続けていくのかという論点は、農業や学校教育の制度のあり方や現状といった俯瞰的な視点を持って考えていく必要があると言えるでしょう。








