失敗の中に面白さがある 桂川町・古野隆雄氏①


試行錯誤の連続
1977年(昭和52)に完全無農薬有機農業をめざして農業を始めてから、50年近くになります。
学生時代、有吉佐和子さんの『複合汚染』やレイチェル・カーソンさんの『沈黙の春』を読み、志だけは高いスタートでした。
とはいえ、当時
試行錯誤の連続
1977年(昭和52)に完全無農薬有機農業をめざして農業を始めてから、50年近くになります。
学生時代、有吉佐和子さんの『複合汚染』やレイチェル・カーソンさんの『沈黙の春』を読み、志だけは高いスタートでした。
とはいえ、当時は理念ばかりで技術は皆無の「有学歴無経験者」(笑)。両親の営む慣行農法の稲作とイチゴを手伝いながら、具体的に何をどうすればいいのか考えあぐねる日々でした。
その後、実践に裏打ちされた素晴らしい百姓の方たちとの一期一会に助けられて、土づくりの技術を学び、除草技術で悪戦苦闘の末に10年がかりで「アイガモ水田同時作」にたどり着きました。
しかし、すぐまた新たな課題にぶつかり、試行錯誤を繰り返す。今もその連続です。でも、誰かが言っていましたよ。「失敗のない人生こそ失敗である」
失敗することで、何が問題かわかってきて、別の世界が見えてくる。農業の本来の面白さは、そうやって自分自身で技術を創り上げていくドラマの中にこそあると実感しています。
今は、タイパとかコスパとか、効率化ばかりが求められますよね。農政も、大規模化・システム化・単作化を推進しています。最終的には、いかにカネを稼ぐか。でも、効率化されていくほど、本来の農業の面白さや農家の主体性はそがれてきた気がするんです。
大事にしてきたこと
現在、約10㌶の水田輪作で米麦と60種類の野菜、1㌶の畑でサツマイモなど、自然卵養鶏300羽、アイガモ4千羽を、息子夫婦と育てています。これまでの実践で最も大事にしてきたのは、自分たちの食べものを自給すること、子どもが小さい頃から親子で一緒に働くこと。このふたつです。
田んぼに魚や多様な生き物がいて、その中に人もいて働いている。そんな人と自然のかかわり方と農村風景こそ大切なのではないか――。
これまでの私の実践の軌跡とともに、今まで考えてきたことをお話します。構成 榊田みどり
ふるの たかお(75) 1950年福岡県生まれ。77年、九州大学卒業後、完全無農薬有機農業を始める。78年同大大学院中退(2007年博士号取得)。1988年、アイガモ水田同時作に着手。技術を体系化し、アジアを中心に世界に普及。2001年、スイス・シュワブ財団「世界で最も傑出した社会起業家」に選出。『農業は脳業である』『アイガモばんざい』など著書多数。








