有機農業の第一歩 桂川町・古野隆雄氏③


大先輩との出会い
1970年(昭和45)、楠の若葉がきれいな春、希望にあふれて熊本大学理学部数学科に入学しました。
しかし、教養課程で学ぶうち、改めて農業の社会的な意義を考えたくなり、1年で中退して九州大学農学部に入り直しました。
大先輩との出会い
1970年(昭和45)、楠の若葉がきれいな春、希望にあふれて熊本大学理学部数学科に入学しました。
しかし、教養課程で学ぶうち、改めて農業の社会的な意義を考えたくなり、1年で中退して九州大学農学部に入り直しました。
『複合汚染』や『沈黙の春』を読み、有機農業に関心を持った私を実践へと踏み切らせたきっかけのひとつは、卒業を控えた4年生の時に受講した故・山田龍雄先生の農業史の最終講義でした。
定年退官を迎えた先生の「自分の仕事が世の中でどんな役割を果たしているか、よく考えて働いてください」という言葉に感銘を受け、大学院に進んだものの、その言葉に後押しされて就農の決意が固まり、77年、中退して帰郷しました。
しかし、志はあっても技術がない。そんな私に「一緒に有機農業の勉強をしましょう」と優しく声をかけてくださったのが、飯塚市で牧場を経営していた故・西田久雄さんです。
77年に熊本で開催された日本有機農業研究会全国大会で、初めてお会いしました。私より40歳ほど年上で、旧制五高から京都大学に進み、第2次大戦中は、中国東北部で地下資源調査に従事した方でした。
戦後は牧場経営の一方で、肉屋グループや酪農会社を興すなど、人生でも農業でも「有学歴有経験者」の大先輩。出会った頃は、山間部で肉牛を肥育しながら、ライフワークとして牛ふんの堆肥化を研究されていました。
筑豊有機農業研究会を結成
西田さんに誘われるまま、翌78年、「筑豊有機農業研究会」を結成。滋賀県甲賀市で開催された微生物農法による土づくり講習会に参加しました。島本微生物研究所(現・島本微生物工業㈱)の3泊4日の講習会です。
土壌微生物の働き、堆肥・発酵有機質肥料などの作り方、それらを使用した栽培方法、試験農場の素晴らしい野菜やイネの姿など、このとき初めて、有機農業の理論と実際に触れた気がしました。
「土づくりは最大の技術」という故・島本邦彦先生の言葉に感動し、帰ってすぐに堆肥づくりを始め、その後も10回ほど講習会に通いました。
これが私の有機農業への第一歩。西田さんや島本先生との出会いは、まさに一期一会。必要なときに必要な人が現れてくれます。私たちは生かされている、と思います。
構成 榊田みどり








