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農人伝

農業の価値 桂川町・古野隆雄氏⑪

2026年07月03日
     
孫のために植えたアーモンドの木と
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 近年アイガモ・ロボットが登場しました。アイガモ・ロボットは除草のみの単一機能技術。アイガモ水稲同時作は、稲作と畜産の創造的統一。「一鳥万宝」の世界、いのちとの触れ合いの技術です。


 スマート農業に限らず、近代の農業技術は、いかに省力化して収

 近年アイガモ・ロボットが登場しました。アイガモ・ロボットは除草のみの単一機能技術。アイガモ水稲同時作は、稲作と畜産の創造的統一。「一鳥万宝」の世界、いのちとの触れ合いの技術です。


 スマート農業に限らず、近代の農業技術は、いかに省力化して収量と収益を上げるかに終始します。タイパとコスパの世界です。


 これは突き詰めれば、人間ではなくロボットが農業をやればいいということでもあります。ホワイトカラーの仕事がAIに取って代わられる話と同じです。


 本当にそれでいいのでしょうか。農業は、農産物を作るだけでなく地域を守り、風景も作ってきました。こんな時代だからこそ、改めて、農業とは何か、地域とは何か、仕事とは何か、人間は何をすべきかを考えるべきではないでしょうか。


 農地面積の狭い東アジアの国々は、もともと自給のために「経済合理性」よりも「土地生産性」の視点で農業を考えてきた歴史があります。狭い農地の時間と空間を、輪作と同時作で利用し豊かな生態系と共存してきました。


 気付けば、幼少期には川に湧くほどいた魚も、スズメやヒバリ、ホウジロ、ヨシキリなどの鳥たちもいなくなりました。よく見ると、魚のエサになるミジンコや鳥のエサになる昆虫が激減しています。


 驚いたことに近頃、大空を悠々と飛び、急降下してエサを捕るはずのトンビが、サギやカラスのように、トラクターで耕している私の横を歩きながらエサを探しています。異常です。


 人間の食糧危機の前に、足元の生態系が崩れ、自然界の食糧危機がすでに始まっています。田んぼの「生き物調査」がありますが、「いないもの調査」も必要です。

 折しも今、効率化を支えてきた石油エネルギーの供給不安で、マルチをはじめ多くの農業資材が入手困難になっています。


 従来の農業モデルは、石油エネルギーの上に築かれた〝砂上の楼閣〟ならぬ、〝油上の楼閣〟。未来と共存できる持続的な技術ではありません。


 改めて自分はどんな農業をしたいのか、身近な自然をどう活かすのか、生き方(ライフスタイル)全体が問われている気がします。


 農業もスポーツも、自分自身がすることに深い意味があると思います。

おわり


構成 榊田みどり


◇次回は埼玉県の船川由孝さん

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