米農家の根っこのある暮らし momo farm 栃木・大田原市 西岡智子氏


春の田で感じること
春の田んぼに立つと、あらためて、いのちの美しさに心が動かされる。本当は、ずっとそこにあったはずの景色。けれど、日々の忙しさの中で、感じる余白を持てずにいたことにも気づかされる。
田んぼに流れこむ豊かな水。水のきらめき、や
春の田で感じること
春の田んぼに立つと、あらためて、いのちの美しさに心が動かされる。本当は、ずっとそこにあったはずの景色。けれど、日々の忙しさの中で、感じる余白を持てずにいたことにも気づかされる。
田んぼに流れこむ豊かな水。水のきらめき、やわらかな風、芽吹きはじめた草たち。さえずる鳥の声、カエルたち。そして、田んぼを営む人たちの音。いのちの響き合いが、田んぼに満ちている。そのひとつひとつが、こんなにも豊かだったのだと、春の光の中で静かに思い出していく。
今月は、息子や娘の成長を感じる場面も多くあった。水や田んぼに向き合う姿や、この場所を支える姿に、頼もしさを感じている。これまで一人で踏ん張り、歯を食いしばるように守ってきたものが、少しずつ次の世代へと手渡されているような感覚がある。
農業は、ただ作物を育てる仕事ではなく、季節のうつろいとともに、その美しさを感じ続ける営みなのだと、あらためて感じている。
ゆるみ、委ねる
そして今、「がんばること」から少し離れ、ゆるむこと、委ねることを自分に許しはじめている。
運営する農家民宿「花園創」に訪れてくださったお客さまから、「ここに来て、解放されました」そんな言葉をいただいた。その言葉に触れたとき、それはこの場所だけでなく、自分自身にも起きている変化なのだと感じた。
今月は、「ゆるむ」「委ねる」という言葉が、静かに流れている。
力を抜いたその先に、本来のいのちのリズムが戻ってくる。
余白の中にこそ、豊かさがあることを、あらためて感じたひと月だった。
◇次回は6月12日付








