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民事信託による資産管理と継承⑤ 司法書士・髙橋宏治

2026年04月17日

 不動産以外の財産での民事信託活用としては、株式の信託も考えられます。

 上場株は、証券会社に預託しますが、野村証券や大和証券など大手証券会社は、民事信託に対応した口座開設を行っています。

 会社の経営を行っている場合、その会社の株式いわゆる自

 不動産以外の財産での民事信託活用としては、株式の信託も考えられます。

 上場株は、証券会社に預託しますが、野村証券や大和証券など大手証券会社は、民事信託に対応した口座開設を行っています。

 会社の経営を行っている場合、その会社の株式いわゆる自社株を信託財産として事業承継スキームで民事信託を利用することがあります。

 自社株の信託については、まだそれほど事例の蓄積は多くないと思いますが、現経営者が高齢などの理由で近い将来の判断能力に不安のある場合に民事信託を認知症対策に利用するなどの活用が考えられます。

 この自社株信託は、農業での活用も考えられます。後の回で説明します。

 さてこれまで民事信託の基本的な仕組みを説明して、具体的な活用事例を紹介してきましたが、この後、その他の財産管理承継手法との対比でさらに民事信託の特徴を理解してもらいたいと思います。

 まず、成年後見制度との対比で検討を行います。後見人候補者との契約を締結する任意後見制度もありますが、今回は家庭裁判所で後見人等が選任される法定の成年後見制度に絞って検討します。

 成年後見制度は、裁判所のホームページに「成年後見制度とは、認知症、知的障害、精神障害などによって物事を判断する能力が十分ではない方について、本人の権利を守る人(「後見人」等)を選ぶことで、本人を法律的に支援する制度です」とあります。

 まず、大きな違いですが、法定の成年後見制度は、後見人等を家庭裁判所が選任をして開始しますが、民事信託は、委託者と受託者の契約によって開始をします。民事信託も場面によっては裁判所を利用することはありますが、原則として契約内で財産の管理処分を行います。

 それに対して成年後見制度は、原則として家庭裁判所の監督のもと財産管理処分を行います。

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