農業における労務管理の重要性 現場に役立つ労務管理⑨

2026年09月11日

 農業者ごとに丁寧に聞き取り、所定労働時間を設定し、労働条件を決定し、就業規則を作成する。この「労働時間管理」が私にとって社労士として農業に関わる最重要な事項です。それは今でも変わっていません。


 農業に特化した社労士として活動し20年近くな

 農業者ごとに丁寧に聞き取り、所定労働時間を設定し、労働条件を決定し、就業規則を作成する。この「労働時間管理」が私にとって社労士として農業に関わる最重要な事項です。それは今でも変わっていません。


 農業に特化した社労士として活動し20年近くなりますが、顧問先との最初の接点は「労働時間の設定」です。賃金制度や人事評価制度の相談もよくありますが、その前提となる「所定労働時間」が定まらないと月給額を定めることができないので当然です。


 ただ、労働時間管理を進めていくなかで、労働時間以外の課題も多くみえてきました。「人材の定着」というのもその一つです。もちろん、「これで解決する」という取り組みがあるわけではありませんが、まずは「労務管理」を徹底するということが第一です。所定労働時間の設定も要素の一つですが、有給休暇や育児休業の取得、労働保険・社会保険の活用、これら労働者として法で定められている権利はしっかりと保障する、これがないと安心して働くことはできません。


 賃金制度や人事評価制度はしっかりとした労務管理という土台ができてから検討する話です。労務管理という土台がしっかりとないままに、人事評価や賃金制度を導入しても人材の定着はあり得ません。人材マネジメントという言葉をよく耳にしますが、「マネジメント」の語源は、イタリア「maneggiare(馬を手で扱う)」です。馬に乗るとき、お尻を(たた)いて乗せてもらえますか? まずは、馬と信頼関係を結ぶことが必要です。労働者も同じこと、法で定められた権利を認めず、信頼関係が結べるはずがありません。しかし、労務管理にしっかり取り組むことが、労働者のモチベーションをあげるというものではありません。あくまでも、衛生要因であり、不満を取り除くためのもので、「人材を定着」させるために最低限必要なことなのです。


@特定社会保険労務士  橋本將詞

有料会員に登録すると会員限定の有料記事もお読みいただけます