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民事信託による資産管理と継承⑦ 司法書士・髙橋宏治

2026年05月01日

民事信託と相続・遺言の比較

 成年後見制度以外の財産管理、資産承継方法と民事信託制度の対比をします。

 最もシンプルで確実な資産承継手段は贈与です。売買で所有権移転することもありますが、本稿では、親族内承継として多く行われる贈与と対比して検討し

民事信託と相続・遺言の比較

 成年後見制度以外の財産管理、資産承継方法と民事信託制度の対比をします。

 最もシンプルで確実な資産承継手段は贈与です。売買で所有権移転することもありますが、本稿では、親族内承継として多く行われる贈与と対比して検討します。

 贈与は所有権移転登記も行うため確実な承継手段ですが、通常は、民事信託や相続に比べ費用がかかる資産承継手段となります。贈与税がかかる場合は相続税より高い倍率の税金がかかり、不動産の場合は、不動産取得税も課税されます。また、登録免許税も民事信託や相続に比べ税率が高く設定されています。農地の場合、それらの税金の計算根拠となる評価額などが低いためそれほど大きな負担になりません。そのため、宅地など農地以外の土地や多額の金銭に比べて贈与しやすい財産と思われます。費用面から考えれば農地については生前贈与も大きな負担にならずよく行われています。

 ただ、生前贈与は確定的に所有権を移転してしまうので、一度行ってしまうと元に戻すことが困難です。受贈者が戻さないと言えば元に戻すことはできません。民事信託であれば、所有権を移転しますが、契約解除が可能です。契約解除をすれば原則として所有権を戻すことができます。民事信託は、後戻りが可能な承継と言えます。

 最後に遺言との対比を行います。亡くなった後に被相続人の意思を実現する財産承継手段として最も利用されている法律行為は遺言です。遺言については判例も多く、要件をしっかり整えれば、利用しやすい法律行為と言えます。また、自筆証書遺言などは費用もかけず手軽にできます。ただ、その代わりに紛失や棄損の恐れがあり、撤回や書き直しもしやすいので、承継する側として、安心できないというデメリットもあります。

 また、遺言は死後に効力が発生するため、生前の認知症対策としての効果はありません。

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