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ゼミナール

民事信託による資産管理と継承④ 司法書士・髙橋宏治

2026年04月10日

 自宅のみを信託財産にする事例について具体的に少し詳しく説明します。

 例えば父親、長男、二男の家族構成で実家は栃木県内にあり父親が独居をしており、長男は、実家の近くに家を建て、二男は、東京に住んでいるケースを考えます。

 父親に何かあった場合

 自宅のみを信託財産にする事例について具体的に少し詳しく説明します。

 例えば父親、長男、二男の家族構成で実家は栃木県内にあり父親が独居をしており、長男は、実家の近くに家を建て、二男は、東京に住んでいるケースを考えます。

 父親に何かあった場合には、近くに住んでいる長男が面倒を見る予定になっています。実家の不動産価値は高いのですが、その他、現預金などの財産はあまりありません。父親の認知症が急速に進んでしまい判断能力が著しく低下してしまった場合には、売却の手続きをすることが困難となり資金を捻出することが難しくなってしまうという説明をしましたが、さらに実家の維持のためにお金がかかる場合もあります。

 そのような状況を避けるためには父親が元気なうちに長男に実家を贈与してしまえばいいのですが、その他の財産が少ないため、相続という面から考えると二男に残す財産が無くなってしまい不均衡となってしまいます。

 民事信託を利用して実家を長男に信託すれば、万が一父親が急に認知症になった場合でもゆっくり実家の整理をした後に受託者である長男が実家の売却をして現金化することができます。

 また、売却代金がそのまま信託財産となるため、残余財産を長男、二男に2分の1ずつ帰属するようにしておけば、父親が亡くなった後の財産をおおむね均等に分けることも可能となります。

 続いて不動産以外の事例です。例えば、銀行の預金口座は、認知症になってしまうと引き出しをすることができなくなります。少額の現金であればそのまま現金を預けることもできるのですが、老後資金など高額な場合には、民事信託を利用する方が安心です。預かった者の名義で預金口座を作成すると、預けた人より預かった人が先に亡くなった場合には、相続財産の特定で争いになることも考えられます。

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