広がる日本農業技術検定① 東京都都立園芸高校
農業分野の基礎知識や技術理解を測る「日本農業技術検定」が、高校・大学などの教育現場やJA、農業法人などで広がっている。同検定を導入し、活用している事例を紹介する。 (全4回)
日本農業技術検定を農業教育の現場で活用しているのは、東京都世田
農業分野の基礎知識や技術理解を測る「日本農業技術検定」が、高校・大学などの教育現場やJA、農業法人などで広がっている。同検定を導入し、活用している事例を紹介する。 (全4回)
日本農業技術検定を農業教育の現場で活用しているのは、東京都世田谷区にある東京都立園芸高等学校だ。同校は、生徒の農業知識の定着を促す手段として同検定を受験しており、学習への理解度を測る指標の一つとしている。
同校では園芸や食品、動物などの専門分野を学ぶ学科の中で、栽培や加工、飼育といった実習が多い。各科において推奨される各検定がある中、日本農業技術検定は共通して取り組む検定の一つとなっている。3級は共通学科の「農業の基礎知識」と選択学科の「栽培系」「畜産系」「食品系」「環境系」の4項目から一つを選択。教育課程と検定の選択学科が類似しているため、検定が生徒たちの知識の整理に役立っている。
同校は2年生時点で、全員の3級合格をめざしている。2025年度は3級に141人が受験し137人が合格。合格率は97%と、3級を受験する団体の中で最優秀団体の一つとして選ばれた(3級の平均合格率は68%)。
園芸科の担当教員の片岡せりな先生は「農業は実習のイメージが強いが、基礎知識も重要。日本農業技術検定は授業で学んだ内容を改めて振り返る機会になる」と語る。
同校では検定のテキストを授業に取り入れ、生徒の学習段階に応じて受験を促している。さらに、2年生は7月に全員受験を基本とし、3級取得後も2級に挑戦する生徒もいる。
片岡先生は「検定に向け生徒たちの自主性を促すことに努めている。教員同士でも情報交換を行い、生徒の合格への手助けができればと思う」と話す。生徒の合格に向け、問題の傾向や対策などを研究、先生によっては独自の教材を作るなど、同校では生徒と教員が一丸となって検定に取り組んでいる。
動物科の髙久心暖(たかくこはる)さんと菅野美咲(かんのみさき)さんは、2年生ながら2級の「畜産」試験に合格。髙久さんは養蜂に、菅野さんは好きな動物や自然に触れあえる環境で勉強に取り組みたいと考え、入学した。2人とも非農家出身で入学するまで農業の知識はゼロだったが、25年7月に3級に合格し、同年12月に2級合格と、高い意欲で学習に取り組んできた。
2級に合格できたのは放課後の取り組みが理由と語る。2人は「友だちと放課後に過去問に取り組む時、みんなで問題を出し合ったりした。お互いにわからない部分を教えあったところが記憶に残っていた」と話す。ほかの生徒からも、「検定で勉強したことが実習で出てくるとうれしい」との声もあり、学習の意欲向上にもつながっている。
検定を通じて得た知識は進路選択にも影響を与えている。同校では卒業後、就職を選択する生徒や農学系や食品系の大学・専門学校への入学を選択する生徒の両方が在籍するが、検定で培った基礎知識は入学後・就職後の専門的な学習にも役立つため、生徒一人一人の将来の選択肢を広げている。
同校では今後も検定の活用を通じて、生徒が幅広い視点で農業を理解できるよう取り組みを続けていく考えだ。
◇次回は4月17日付








