現場に役立つ労務管理⑤ 農業における変形労働時間制
今日、多くの農業経営では変形労働時間が導入されていると思います。ただ、純粋に労働基準法に定める変形労働時間制を導入しているところは少ないのではないでしょうか。雨が降って播種の時期がずれれば収穫が数週間ずれ込む、水温が15度以上にならないと
今日、多くの農業経営では変形労働時間が導入されていると思います。ただ、純粋に労働基準法に定める変形労働時間制を導入しているところは少ないのではないでしょうか。雨が降って播種の時期がずれれば収穫が数週間ずれ込む、水温が15度以上にならないと田植えができない、話すことができない家畜もこの猛暑で暑熱ストレスを抱えている──など、農業では、天候、気候など自然的条件により、作業内容が異なることは当たり前です。労働基準法が規定する変形労働時間制は、一定の期間について、平均して1週40時間とすれば、「特定の日」または「特定の週」に、1日8時間、1週40時間を超えて、一定の限度で労働させられる制度です。
しかし、この日や週を「特定」することが難しい農業で、法律上の変形労働時間制をそのまま導入することは困難だと考えています。
とはいえ、経営する側の事情がそうであれ、労働契約は、「これだけ働いて、これだけ賃金を支払う」という契約です。「これだけ」の尺度は「時間」です。労働者は「これだけ」をわかりやすく定めていないと「どれだけ?」となってしまいます。
時給で雇用する場合は、働いた時間分ということでわかりやすいですが、月給となると非常にわかりにくくなります。そこで、とりあえず「法定労働時間」として、8時から17時で1時間休憩、「1日8時間」と定めているところもあるのではないでしょうか。ただ、その時間の定め方で季節ごとに繁閑が激しい農業で対応できるでしょうか。
契約時の説明と実際の働き方は全く違う、農業には先に書いた事情があることは、経営者はわかっていますが、はじめて農業で働く労働者にとっては不信でしかありません。雇用契約は、雇う側が労働条件含め、労働環境などすべてを整え、労働者はその条件、環境下で「労働する」契約なのです。次回も変形労働時間制についてさらに触れていきたいと思います。
@特定社会保険労務士 橋本將詞








