広がる日本農業技術検定② 生産者との対話のきっかけに・JA福井県、JA香川県
農業分野の基礎知識や技術理解を測る日本農業技術検定を職員教育に取り入れる動きが各地のJAで広がっている。新規採用職員や若手職員を中心に受験を進め、農業知識の底上げと現場や窓口業務の対応力の向上を図る取り組みとして採用されている。
基礎知識習
農業分野の基礎知識や技術理解を測る日本農業技術検定を職員教育に取り入れる動きが各地のJAで広がっている。新規採用職員や若手職員を中心に受験を進め、農業知識の底上げと現場や窓口業務の対応力の向上を図る取り組みとして採用されている。
基礎知識習得に活用
背景にあるのは、新規採用職員のバックグラウンドの変化だ。近年は非農家出身者の採用も増え、農業に触れる機会が限られてきた中で、基礎的な知識をどのように身につけるかが課題となっている。現場では生産者との会話の中で専門用語や栽培に関する話題についていけず、十分に踏み込めない場面も見られるという。
その中で、同検定の受験は営農指導に限らず、購買や金融などJAの他部署においても無関係ではなく、組合員との関係づくりにきっかけを与えている。
JA福井県では窓口に組合員が訪れた際に必要となる基礎知識を、どの段階で身につけるかが課題だった。職員は購買窓口や営農、金融など多くの部署があり業務は多岐にわたる。技術検定の3級は、職員の農業知識の「入門」として活用できる。同JA人事局(取材当時)の河原伸明さんは「検定を通じて基礎的な用語や考え方を押さえることで、生産者との会話のきっかけが増える」と検定の効果を語る。
また、JA香川県でも同様の動きが見られ、農業に関する基本知識のボトムアップを目的に検定を活用している。2019年度から新規採用職員や若年層職員を対象に同検定の受験を進めている。農業体験実習と並行しながら、35歳未満の職員を対象に3級受験を3カ年計画で推進。業務と座学を組み合わせることで、農業の基礎知識が定着する体制を整えている。取り組みは経営強化の一環として位置付けられており、職員の意識改革と人材育成を同時に進める狙いもある。
JA香川県人事課の寒川賢一さんは「JA職員として農業の基礎知識を身につけることで組合員の期待に応えられる」と語る。
実際に昨年に検定を受験し合格した同人事課の安部歌純さん(32)も「以前は栽培に関する話題で分からない用語が多く、会話に入りづらさを感じることがあった」と振り返る。しかし、検定を経て農業情勢への理解が深まり、「農家組合員とのコミュニケーションが円滑に進むようになった」と明かしてくれた。
自主学習や情報共有も
検定をきっかけに自主的な学習や職員同士の情報共有が進むといった効果も確認されている。両JAとも、勉強会の実施などを通じて学びの機会を広げており、組織全体で知識の底上げを図る動きにつなげている。
一方で、二つのJAに共通しているのは、検定をあくまで『手段』として捉えている点だ。
JA福井県の河原さんは「合格そのものを目的とするのではなく、日常業務で必要な知識を身につける過程の中で、理解度を確認する目安として位置付けている」と語る。窓口業務や営農にとどまらず金融などの多岐にわたる事業を持つJAだからこそ、検定の積極的な活用が進んでいる。
両JAでは今後も、職員の知識向上と組合員との関係強化を両輪として取り組みを進めていく考えとしている。現場での信頼関係を築くための土台づくりとして、活用が続いていきそうだ。








