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農人伝

「一鳥万宝」と「同時作」 桂川町・古野隆雄氏⑧

2026年06月12日
     
91年から全国交流勉強会アイガモサミット開催
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 外敵防除が一段落すると、アイガモの多面的な効果が見えてきました。それまで、ほぼ3年に1回受けていたウンカ被害がなくなりました。雑草だけでなく害虫も、アイガモのエサになり、そのふんが稲の養分になる。邪魔者だったはずの雑草や害虫が、資源に変わ

 外敵防除が一段落すると、アイガモの多面的な効果が見えてきました。それまで、ほぼ3年に1回受けていたウンカ被害がなくなりました。雑草だけでなく害虫も、アイガモのエサになり、そのふんが稲の養分になる。邪魔者だったはずの雑草や害虫が、資源に変わるのです。

 アイガモ効果は、およそ六つあります。①除草防除効果、②害虫防除効果、③養分供給効果、④フルタイム代かき中耕・濁り水効果、⑤ジャンボタニシ防除効果、⑥稲に刺激を与える効果――。⑥は、アイガモがくちばしや身体で稲に常に接触刺激を与えると、稲から生長ホルモンが分泌され、茎数が増え、太茎大穂の豪快な稲になること。アイガモという動物と稲という植物を組み合わせることで生まれる素敵な効果です。

 そう説明するとよく「一石二鳥ですね」と言われますが、これは鳥が死ぬ話なのでナンセンス。私は「ひとつの鳥に万の宝あり」という意味を込め、「一鳥万宝(いっちょうまんぼう)」という言葉を考えました。

 強調したいのは、これが単なる除草技術ではなく、稲作と畜産を同時に行う創造的な統合という点です。「アイガモ水稲同時作」と命名したのはそのためです。

 調べてみると、中国ではかつて「アヒル水田放飼農法」が行われていました。中国四川省出身の研究者によると、1950年代はほとんどの田んぼにアヒルが泳いでいたそうです。それが60~70年、農業の近代化で激減。フィリピンやベトナムも同様でした。

 同時作の普及と交流で、2000年前後から、アジア各国で「同時作」が始まりました。これは、途切れていた「伝統」の再生なのです。昨年、わが家を訪ねて来た中国の研究者は「同時作は中国中に広がり、ヒナの供給業者もいる」と教えてくれました。

 では、伝統的なアヒル水田放飼農法と「同時作」はどこがちがうのか。「囲い込み」の有無です。前者は、地域の水田全体にアヒルを自由に放す、どちらかというと畜産技術。後者は、水田を囲い込み「限定空間」を作ります。すると水鳥の稲に対する効果が格段に高まり均一になります。畜産と稲作の「統合」の醍醐味(だいごみ)です。

 今や「同時作」は、世界中で楽しく行われています。わが家も今月中旬に、アイガモを田んぼに放します。

 構成 榊田みどり

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