農業における労務管理の徹底 現場に役立つ労務管理⑩
前回、人材の定着には「労務管理」を徹底することが大事だと言いました。しかし、徹底することがなかなか実践できない事情が農業にはあります。
それは、これまで何度も書いた労働時間と農作業時間のずれです。所定労働時間は契約する時間となりますが、天
前回、人材の定着には「労務管理」を徹底することが大事だと言いました。しかし、徹底することがなかなか実践できない事情が農業にはあります。
それは、これまで何度も書いた労働時間と農作業時間のずれです。所定労働時間は契約する時間となりますが、天候や作物の状態により、毎日や毎週の単位では前もって予定が立ちにくいことは前回までで説明しました。
もう一つは、「身内感覚の労務管理」です。家族経営、地域の助け合いでこれまでの農業は維持されてきました。どうしても、第三者がそこで働くことに、雇う側が慣れていないという状況があります。近所で定年退職した気の知れたおじさんや手の空いている同級生が手伝ってくれる、このようなことは農業では日常茶飯事に起こります。
結果、「身内」という意識が窮屈な労務管理の徹底を拒んでしまいます。「身内だから何となく」は大きな間違いです。
たとえ、働く側が「そんなん適当でかまへん」であっても、雇う側は、その事業に責任をもつ経営者です。知り合い感覚で「労働者」として扱うことは、経営にとってリスクでしかありません。
身内ではない第三者を労働者として迎え入れた場合、どのように管理されますか。身内労働者と同じ感覚で管理はできません。そこに不平や不満が出始めます。また、身内労働者とて雇用契約関係となり、労働基準法が適用され、労働契約法によって民事上のリスクを負う可能性もあります。
決して、友人や知り合いなど、親しい方を雇用すべきではないと言っているわけではありません。
そのような方でも、雇用する側とされる側、立場が違い、責任も権利も違うということを認識する必要があるということを言いたいのです。労務管理を徹底しないと人材の定着はありません。それを徹底する前提として、身内の労働者にも同様の徹底が必要です。
@特定社会保険労務士 橋本將詞








