虫眼鏡のシーズン到来 プチ生物研究家・谷本雄治
「これからの農業は、なによりも観察ですよ」
30年ほど前、あるトマト農家に言われた。寄生バチでオンシツコナジラミをやっつけてもらう「天敵農法」のはしりの時期だった。
それまでは化学農薬に対する期待があまりにも大きく、散布後に動くものがいれ
「これからの農業は、なによりも観察ですよ」
30年ほど前、あるトマト農家に言われた。寄生バチでオンシツコナジラミをやっつけてもらう「天敵農法」のはしりの時期だった。
それまでは化学農薬に対する期待があまりにも大きく、散布後に動くものがいれば効かない薬剤だと思われがちだった。だから天敵となる虫も含めて一網打尽にしていた。
虫好きのはしくれとしては、ちょっとがっかりだ。もしかしたら希少・貴重種も混じっているかもしれない。それだけに彼の言葉は、なるほどと思えたものである。
そのころ始めた無農薬の家庭菜園にはモンシロチョウ、キアゲハ、ウリハムシ、ホオズキカメムシなどがわんさか集まった。もはや収穫は望めない。
そこでたびたび思い出したのが冒頭の話だ。菜園は虫たちに提供し、虫眼鏡を片手に、害虫世界の内情を探ることにした。それを何年も続けたことで、習性はいくらかわかってきた。そのおかげで最近は、虫たちのおこぼれが口に入る。
果樹類は外来種が怖い。クビアカツヤカミキリやツヤハダゴマダラカミキリは、産卵期に当たるこれからの対応が重要になる。木の幹や根元に木くず・ふんが混じった「フラス」がないか気をつけ、世の虫好きや少年たちにも協力を求めよう。彼らの「虫目」は頼りになる。
近所のクズの葉では、ウリハムシに似たクズクビボソハムシを見る機会がふえた。「マメ科のクズに、ウリハムシ?」と疑問に思ったのがきっかけだから、日ごろの観察に付き合ってくれた菜園の害虫には感謝している。
大豆や小豆、インゲンなども同じマメ科だから、目をつけられたら大変だ。きらきらで大型のフェモラータオオモモブトハムシもクズ依存種だから、今後の動きが気になる。サツマイモ畑には派手な金緑色のタテスジヒメジンガサハムシが現れた。
家に眠る虫眼鏡があるなら、この季節こそ活用したいね。
◇次回は7月10日付








