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コラム・社説

主張

就農準備資金・経営開始資金 増額は覚悟決めるきっかけ

2026年07月17日

 「始めること以上に続けることは覚悟がいる」――。就農準備資金を活用した研修生の受け入れ実績が多い農業法人代表はつぶやく。


 就農に向けた研修期間や経営開始直後の生活と経営を支援する就農準備資金・経営開始資金の交付額が、長年据え置かれた単価の

 「始めること以上に続けることは覚悟がいる」――。就農準備資金を活用した研修生の受け入れ実績が多い農業法人代表はつぶやく。


 就農に向けた研修期間や経営開始直後の生活と経営を支援する就農準備資金・経営開始資金の交付額が、長年据え置かれた単価の改正により2026年度から年間150万円から165万円に増額された。準備資金の活用を前提に研修制度を体系化する地域も多く、今回の支援の充実は新規就農を志す本人と支援する地域・機関の双方を後押しするものであり歓迎される。


 さらに、他業界から優れたキャリアを持つ者の農業への呼び込みや、経営拡大のブレーキ要因とならないよう、前年の世帯所得が600万円を超えると交付対象外となる所得要件の見直しが進むことを期待する。


 視点を変えると、交付額の上昇は責任の増加ともいえる。一定期間内に営農を断念した場合、2年間の準備資金と3年間の開始資金で最大総額825万円が返還リスクとしてのしかかる。交付期間は現状維持ではなく、農業で生計を立てる将来設計の期間だと強く認識しなければならない。


 周囲の支援機関が果たす役割も大きい。地域計画を軸に新規就農者が営農しやすい環境作りとともに、経営計画が滞らないよう伴走支援が求められる。冒頭の法人代表者は、研修卒業後こそ対等な農業経営者として日頃のコミュニケーションを一層深めている。経営管理能力やビジネススキルを身に付けるには、生産者のネットワークに所属し、悩みを抱え込まず仲間と切磋琢磨(せっさたくま)する必要を説く。


 資金の増額を就農の呼び水のみならず、地域への定着に資するよう関係者一丸で覚悟を決めるきっかけとしたい。

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