【身近にある農業小学校】 プチ生物研究家・谷本雄治
農業体験を取り入れた授業が注目されていると聞いた。「農業」を冠した小学校があれば、自治体が独自に農業科を設ける例、民間の農業体験スクールもある。そのかたちはともかく、農業をよく知ろうという動きが広がるのはいいことだ。
かなり以前のことだが
農業体験を取り入れた授業が注目されていると聞いた。「農業」を冠した小学校があれば、自治体が独自に農業科を設ける例、民間の農業体験スクールもある。そのかたちはともかく、農業をよく知ろうという動きが広がるのはいいことだ。
かなり以前のことだが、東北のある小学校に招かれて田んぼの生き物調査に出かけた。学校から徒歩5分。まさに目の前にある田んぼなのだが、そこに向かう途中の用水路で、ちょっとした事件があった。
まさかの落とし穴
「ヘンなのがいる!」
「うへ。気持ちが悪いなあ」
子どもたちが騒ぐのでよほどあやしいものだと思って見ると、なんということはない、タニシだった。
タニシなんて、だれでも知っていると思っていた。大都会ならともかく、完全な農村地帯だ。それなのにタニシを知らない子がいるという事実に驚いた。
田んぼ周辺にいる虫を調べる前に現地を見回ると、猛毒成分を持つことで知られるマメハンミョウがいた。皮膚に体液がつくだけでも大変だ。注意を呼びかけるつもりで1匹捕まえ、「この虫には決して手を出さないように!」と教えた。実物を見るのがいちばんだからだ。
ところがしばらくして子どもが手にする水槽を見ると、その猛毒昆虫が入っている。恐ろしくなって尋ねると、見せられた虫と同じかどうか識別できなかったという。
学びの場は台所にも
タニシもマメハンミョウも同じだが、日頃から自然に接していればなじみの生き物のはずだ。あれから何年も過ぎた。もしかしたら、農村にいながら農業を知らない子がさらに増えているかもしれない。
学校の授業で学ぶことには賛成だが、それ以外の時間でも農業は学べる。調理の際に出る野菜の切れ端を水を張った皿に載せておくだけでも、再生力や育つようすが観察できる。現代の親子には、ごく身近にも農の〝学校〟はあるということも知っておいてほしいな。
◇次回は5月15日付








