お墓参りのプチ奇跡 漫画家・コラムニスト 辛酸なめ子
7月、旧暦のお盆にお墓参りをしました。なぜか最近お寺の住職に目をつけられていて、法要のとき「この中に心の中でお経を唱えたくないと思っている人がいます! 南無阿弥陀仏と唱えたくない人は、今すぐ出ていってください!」と、私の方をまっすぐ見て言
7月、旧暦のお盆にお墓参りをしました。なぜか最近お寺の住職に目をつけられていて、法要のとき「この中に心の中でお経を唱えたくないと思っている人がいます! 南無阿弥陀仏と唱えたくない人は、今すぐ出ていってください!」と、私の方をまっすぐ見て言われました。唱える気満々だったのですが、全く心当たりのないことで怒られるとは理不尽です。でも、90代の住職で威厳が漂っているので、反論などできない雰囲気です。
そんな一件もあり、少しでも真面目な態度を見せたくて8月にも両親のお墓参りに行きました。往復2時間以上かかるので正直大変なのですが……。心の中で両親に「元気でやってます。安らかに過ごしてください」と言ったあと、「暑い中またお墓参りしたので、何かご褒美ください」と頼んでみました。お墓で冥福を祈るどころか、報酬を欲しがるという現金な娘ですみません。こんな風にテレパシーで霊界通信するのは何の電力も使わないのでエコロジーです。
お墓参り後、近くの商業施設で冷たいものでも飲んで休もうと立ち寄りました。抹茶ドリンクを飲みながら一息ついていたら、16時になって急にフロア全体で試食タイムが始まったのです。私がいたのはスイーツフロアで、10店舗前後が参加。店頭にクッキーやパウンドケーキやチョコなど出してくれて、食べ放題タイムに。今まで何度かこの商業施設を訪れましたが、大々的な試食のサービスなんてはじめてです。
そのときふと気づきました。お墓参りのご褒美に、両親が私を試食タイムに導いてくれたのかもしれない、ということに。食べながら、昔実家に行って両親がお菓子を出してくれたときのことを思い出して胸が熱くなりました。あの世にいても、こうやってお菓子を振る舞ってくれるなんて。姿は見えなくても次元を超えたコミュニケーションができました。
今から、次のお墓参りのときは何をおねだりしようか考えています。
◇次回は11月6日付








