春夏野菜主要病害虫防除のポイント②(虫害編)






春夏期は気温上昇に伴い、施設・露地ともに微小害虫が増えやすい時期である。特にハダニ類、アザミウマ類、コナジラミ類、アブラムシ類は、発生初期の対策の遅れが被害拡大につながりやすい。防除にあたっては、発生初期を逃さず、作型に応じた適切な対策を
春夏期は気温上昇に伴い、施設・露地ともに微小害虫が増えやすい時期である。特にハダニ類、アザミウマ類、コナジラミ類、アブラムシ類は、発生初期の対策の遅れが被害拡大につながりやすい。防除にあたっては、発生初期を逃さず、作型に応じた適切な対策を講じることが重要である。なお、農薬を使用する際はラベルをよく読んで、作物ごとの登録内容などを確認する。
奈良県農業総合研究センター 環境・病害虫防除科 主任研究員 藤森颯太
○施設栽培
系統異なる薬剤選択が重要
指導機関の最新情報を確認
冬春期の施設栽培で越冬した微小昆虫が増加し始める時期である。葉裏や生長点、花などを中心に発生の有無をこまめに確認し、対策が遅れないようにしたい。ハダニ類、アザミウマ類、コナジラミ類、アブラムシ類は、殺虫剤抵抗性が発達している場合が多い。
そのような状況でも、一定の効果が期待できる薬剤もある。例えば、ハダニ類はビフェナゼート、フルキサメタミド、アシノナピル、ミカンキイロアザミウマ・ミナミキイロアザミウマはフルキサメタミド、フロメトキン、ヒラズハナアザミウマはフルキサメタミド、スピネトラム、コナジラミ類・アブラムシ類はジンプロピリダズ、ピリフルキナゾンなどが候補として挙げられる。いずれの害虫も地域により薬剤感受性が異なるので、防除薬剤の選択にあたっては、地域の指導機関に相談し、最新の情報を入手するのが望ましい。
また、効果の高い薬剤を長く使用していくためには、同じ系統の薬剤に偏らず、IRAC記号の異なる薬剤を組み合わせたローテーションを心がけることが重要である。散布回数を必要最小限にとどめるために、害虫が生息している部位に薬液を確実に届かせるよう、丁寧な散布を徹底したい。
施設栽培ではこれらの害虫に対応した天敵製剤も利用できる。カブリダニ類、タバコカスミカメ、タイリクヒメハナカメムシ、ツヤコバチ類、アブラバチ類、アカメガシワクダアザミウマなどが代表例である。これから定植する作型では、こうした天敵製剤を活用することで、殺虫剤散布回数を削減し、抵抗性発達の抑制も期待できる。導入時期や放飼方法などによって効果が大きく異なるため、導入にあたっては地域の指導機関に相談されたい。
○露地栽培
窒素過多は害虫発生助長
天敵活用した防除も有効
春定植の露地栽培では、まず定植苗でハダニ類、アザミウマ類、アブラムシ類などを持ち込まないよう、健全苗の確保に努めたい。また、施肥量の適正化も重要である。窒素過多は害虫の発生を助長しやすいうえ、植物体の過繁茂につながりやすく、薬液が葉裏や株内部に付着しにくくなる。密植を避け、通路幅を広めに取ることも薬液の付着向上に効果的である。
定植後は、アザミウマ類やアブラムシ類、ヨトウガの飛来に注意したい。雑草地に隣接する圃場では、ネキリムシ類やカンザワハダニの発生にも注意する。定植初期には、定植前の苗灌注処理が有効な場合が多く、定植時の粒剤処理を省略できるので、省力的である。ハダニ類、アザミウマ類、アブラムシ類を対象とする場合はスピロテトラマト、アザミウマ類、アブラムシ類、ネキリムシを対象とする場合はシアントラニリプロールなどが候補となる。ただし、作物ごとの登録内容や地域での効果を十分確認したうえで使用したい。
一方、水路沿いや排水不良の圃場ではナメクジの発生にも注意が必要である。ナメクジは梅雨期に発生が多くなりやすい。常発地では過湿の解消に努めるとともに、必要に応じてリン酸第二鉄粒剤などを適切に使用し、圃場外縁からの侵入防止を図りたい。
露地栽培では、土着天敵を活かした防除も有効である。天敵への影響が少ない殺虫剤を選択することによって天敵の定着を促進できる。加えて、天敵温存植物を圃場内や圃場周辺に植栽し、天敵の誘引や定着、増殖促進を狙う技術もある。例えば、ソルゴーはアブラムシ類の天敵の発生源として、オクラ、フレンチマリーゴールド、ゴマ、クレオメなどはアザミウマ類の天敵の発生源として利用されている。こうした技術では、適した植物や有効な天敵の種類、活動時期が地域によって異なるので、導入に際しては地域の指導機関と相談しながら進めたい。








