果樹の害虫防除対策のポイント②ダニ




果樹のハダニ類は、今年も気温上昇が早いことから、既に密度が高い傾向にあり、今後さらなる発生量の増加が懸念される。発生動向に注意を払いながら、状況に応じた適切な防除手段の選択によって密度を低く保つよう心がける。
農研機構 果樹茶業研究部門
果樹のハダニ類は、今年も気温上昇が早いことから、既に密度が高い傾向にあり、今後さらなる発生量の増加が懸念される。発生動向に注意を払いながら、状況に応じた適切な防除手段の選択によって密度を低く保つよう心がける。
農研機構 果樹茶業研究部門 リンゴ研究領域 リンゴ病害虫グループ上級研究員 岸本 英成
薬剤は丁寧にローテ散布を、複数対策で密度低減務める
昨年は多くの樹種でハダニ類が多発傾向にあり、リンゴは岩手県、ナシは鳥取県、徳島県、カンキツでは宮崎県で注意報が出された。また、施設果樹でも沖縄県のマンゴーで12月に注意報が出され、今年に入り4月にも注意報が出されている。今年も春期から高温傾向にあり、5月時点で東海および北九州の一部のカンキツで多発が予想されており、他地域、他樹種でも注意を払う必要がある。
防除については、深刻な薬剤抵抗性の発達によって効果的な殺ダニ剤数が少ないなか、さまざまな防除手段を活用してなるべくハダニ密度を増加させないことを心がける。殺ダニ剤以外の手段としては、越冬期のマシン油乳剤散布やその他気門封鎖剤の利用、および果樹園内の土着天敵類の保全やカブリダニ製剤の利用といった天敵類の活用が挙げられる。天敵類の活用の際には、天敵にやさしい殺虫剤を主体とした害虫防除体系、および天敵の生息場所や餌の供給源となる草生栽培といった園内環境の整備が重要となる。一方で、高温乾燥条件や害虫の突発的発生による天敵に悪影響の大きい殺虫剤の使用など、ハダニが急増しやすい環境下になった場合は殺ダニ剤の使用が必要となる。特に今年は5月末時点で関東~九州の多くの府県で果樹カメムシ類の注意報が発令されていることから、殺虫剤散布後はハダニの発生状況にも留意して殺ダニ剤による適期防除も検討する。殺ダニ剤利用の際には、効果を高めるために、作用機構が異なる殺ダニ剤のローテーション散布や葉裏まで十分に薬液がかかるような丁寧な散布といった基本事項を徹底する。近年、天候、害虫発生ともに予想が難しい局面が続くが、状況に応じた適切な防除手段で対応していく必要がある。
被害続く園は予防的防除を、見慣れない症状は専門家へ
フシダニ類は体長0.2㍉以下ときわめて小さく、肉眼でダニ自体を確認するのはほぼ不可能なため、ミカンサビダニやニセナシサビダニなどの被害が例年見られる園では予防的防除を行う。
また、虫こぶやモザイク症状などはサビダニによる被害の可能性があるため見慣れない症状を発見したら専門家へ診断を依頼する。








