【水稲の害虫特集】海外飛来性ウンカと斑点米カメムシ防除のポイント①



稲に被害を与えるウンカ類には、トビイロウンカ・セジロウンカ・ヒメトビウンカの3種がいる。3種ごとに海外飛来の時期、被害の特徴、殺虫剤抵抗性が異なるため、それぞれの違いを十分に理解し、対象とする種に適した防除をする必要がある。ここでは、これ
稲に被害を与えるウンカ類には、トビイロウンカ・セジロウンカ・ヒメトビウンカの3種がいる。3種ごとに海外飛来の時期、被害の特徴、殺虫剤抵抗性が異なるため、それぞれの違いを十分に理解し、対象とする種に適した防除をする必要がある。ここでは、これら3種の防除のポイントを解説する。
農研機構 植物防疫研究部門 真田幸代
飛来源での発生と海外飛来の動向
トビイロウンカとセジロウンカは、中国南部から毎年梅雨の時期に日本に飛来する。今年の中国南部の6月中旬までの発生状況は、昨年および平年に比べてやや多く、一部地域では多発生となっているため、梅雨前線に向かって強い南西風が吹いた場合には飛来に注意する。今年は4月下旬にセジロウンカ、6月上旬にトビイロウンカの初飛来が観測され、その後も複数回飛来してきている。今後も前線が活発化すれば多飛来するので、九州だけでなく、中四国・近畿地域でも発生に注意する。
ヒメトビウンカは、6月上旬頃に中国東部から希に多飛来するが、今年は目立った海外飛来は確認されなかった。
トビイロウンカ 増殖力強く〝坪枯れ〟発生も
本種は飛来時には数百株当たり1~2匹程度と少ないが、増殖力が強く、2~3世代増殖したころの収穫間際には1株当たり100匹以上になることがあり、吸汁によって稲が大量に枯死する〝坪枯れ〟を引き起こす。
育苗箱施用剤による予防的防除が最も効果的だが、一部の殺虫剤は効きにくくなっているため、都道府県病害虫防除所が発表する技術情報等をもとに、効果の高い剤を選択する。箱施用剤の効果が低下した後には、適期(第2世代幼虫期)で本田防除する。成幼虫が集中する株元に薬剤が十分に届くように散布する。
セジロウンカ 新規需要米などの増殖に注意
本種は飛来時にはトビイロウンカに比べて多いが、1~2世代増殖すると、成熟した稲を嫌って移出する。
そのため吸汁被害はほとんど無いが、本種が増殖しやすい新規需要米品種など(インディカ稲由来)で多発生し、稲を枯死させることがあるので注意する。
本種も一部の殺虫剤が効きにくくなっているため、有効な剤を選択する。イネ南方黒すじ萎縮病を媒介することがあるため、多発生の際には本病の発生にも注意する。
ヒメトビウンカとイネ縞葉枯病 発生情報に注意し適切防除を
本種が媒介するイネ縞葉枯病は、稲の生育初期には新葉に〝ユウレイ症状(葉がこより状に巻いて垂れ下がる)〟がみられ、生育が進むと穂が出すくみ、不稔となる。全国に土着し、特に関東・近畿などの一部地域で本病の発生が多い。病害虫発生情報に注意し、病原ウイルスを持つ虫の割合(保毒虫率)が高く、多発生する場合には防除する。
毎年発生が多い地域では育苗箱施用剤による予防的防除が効果的である。いくつかの殺虫剤が効きにくいため、本種に効果の高い剤を選択する。刈り取り後はすぐに耕起し、畦畔雑草を管理することで、本病の拡大を防ぐことができる。
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