省力化技術を活用し経営改善に取り組む稲作経営者 その①



資材高騰や農家の高齢化で、日本の稲作経営は転機を迎えている。こうした中、新潟県長岡市の㈲百笑会(池田治代表、48)は湛水直播栽培を導入し、育苗や田植え作業を省力化。労働時間を大幅に削減した。一方、三重県鈴鹿市の杉本農場(杉本育久代表、38
資材高騰や農家の高齢化で、日本の稲作経営は転機を迎えている。こうした中、新潟県長岡市の㈲百笑会(池田治代表、48)は湛水直播栽培を導入し、育苗や田植え作業を省力化。労働時間を大幅に削減した。一方、三重県鈴鹿市の杉本農場(杉本育久代表、38)も乾田直播と大型機械を組み合わせ、経営規模を拡大して収益改善を進める。気候変動による高温障害や担い手不足が続く中、省力化技術を活用した新たな稲作モデルが注目を集めている。
新潟県長岡市 百笑会 代表 池田治さん
規模拡大で効率性が向上「事業としての農業」へ舵
長岡市で年間の米販売額8千万円の稲作経営を展開する百笑会の代表・池田治さん(48)は、地域農業の担い手として規模拡大と経営高度化を同時に進めてきた。同社は1996年、もともと4戸による機械利用組合として発足し、約12㌶から出発した。転機となったのは2000年の池田さんの参画だ。池田さんが加わったことで農地集積が進み、06年には法人化。共同作業の枠組みを超え、「事業としての農業」へと舵{{かじ}}を切った。
現在の経営面積は約101㌶に達し、その大半を借地が占める。圃場は拠点から3㌔圏内に集約されており、大規模経営に不可欠な効率性を確保している。主力は水稲で、主食用米を中心に輸出用米も手掛けるほか、大豆やネギとの複合経営に取り組む。注目されるのは、湛水直播を柱に直播比率を約50%まで高め、省力化を実現している点だ。これにより労働時間の短縮と作業の平準化を図り、規模拡大を円滑に進める。
ICTで作付けをデータ化属人性排除し標準作業実現
販売面でも独自色が強い。全体の約8割を直接販売が占め、全体の9割を収穫前から予約を受け付けて配達する仕組みを整備。「長期・分散・信頼」を掲げ、安定価格・安定供給の態勢を築いている。一方で、JAや卸業者との契約栽培も組み合わせ、リスク分散を図る堅実な戦略を採る。
近年の大きな節目は、25年に実現した地域営農組織との合併である。約40㌶の組織を受け入れ、経営規模が一気に拡大した。合併は後継者不足という地域課題への対応であると同時に、若手人材の育成という狙いもあった。特徴的なのは「人・機械・組織」を一体で引き継ぎ、3年かけて最適化する計画を立てた点だ。意思決定は徹底して数値に基づき、労働時間など詳細データをもとに採算性を見極める姿勢を貫く。
労働力は正社員とパートを含め約10人規模。理想は「1人当たり20㌶」とするが、現状では人材育成を優先し、あえて余力を持たせた配置としている。作業は5人1組を基本とし、将来的には100㌶を少人数で効率的に運営する態勢をめざす。情報通信技術(ICT)の導入も進み、作業記録や圃場管理をデータ化することで、属人性の排除と作業の標準化を図っている。
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