【夏季特集企画】これからの夏の暑さに向き合う① 猛暑は災害である 

2026年08月14日
     
景山 隆 氏
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 かつて、夕方に散歩や庭先で過ごすことを「夕涼み」と言った。涼を求める行為や言葉は豊富だったが、今や使われることもなく暑さにさらされている。日本の夏はなぜこんなに暑くなってしまったのか。農業者が直面する炎天下での作業の解決策のため、また夏休

 かつて、夕方に散歩や庭先で過ごすことを「夕涼み」と言った。涼を求める行為や言葉は豊富だったが、今や使われることもなく暑さにさらされている。日本の夏はなぜこんなに暑くなってしまったのか。農業者が直面する炎天下での作業の解決策のため、また夏休み中の小中学生の宿題のために、気候変動枠組条約COP3京都議定書交渉日本政府代表団などを歴任した景山隆氏に日本の気候について解説してもらう。


 「最近の夏の暑さは尋常ではない」夏に聞かない日はないセリフだ。かつて夏と言えば、青い空が広がり子どもたちの歓声が聞こえたものである。今は学校のプールは熱中症の危険により使用中止となるところも多い。通学にも日傘は必須だし、“授業中や運動中は飲み物禁止”という昭和のルールは危険な過去の遺物となった。日本だけではなく、6月には欧州を熱波が襲い、1万人以上が亡くなった。日本の熱中症死亡者数も多く、もはや気象災害といって間違いない。


「酷暑日」の誕生


 国も手をこまねいているわけではない。「熱中症警戒アラート」を2021年から本格運用、24年には一段上の「熱中症特別警戒アラート」を新設。さらに2年後の今年から、最高気温が35度以上の「猛暑日」に加え、最高気温が40度以上の日のことを「酷暑日」と呼ぶこととなった。気象制度の上で高温化対策にシフトした体制が整えられている。しかし、河川の氾濫、大雨、土砂災害、高潮の特別警報と危険警報の新設――に比べ、高温化対策のインパクトが弱い。


 熱中症を引き起こす「高温・多湿・日射」の防御は危険度の周知による個々人の努力には限界があり、水害防止のため河川・港湾の堤防や大規模地下ダムと呼ばれる「首都圏外郭放水路」などの整備と同様に、国民の生命を脅かす熱中症防止対策も怠ってはならない。クーリングシェルターの整備、学校や駅構内ほか公共施設へのさらなる空冷施設とミスト発生装置の導入、酷暑下でも命が守れるような安心できる労働・生活環境を提供する強力な分野横断的法制度の整備など、まだまだ課題が多い。


暑さ対策は行政の介入を


 熱中症犠牲防止の施設整備費用と、犠牲者数や熱中症患者減少による医療費などのコスト抑制を考えれば、施設整備の費用対効果は大きい。特に社会的弱者である「日本の礎を作った高齢者」と「今後の日本を担う年少者」の犠牲を減らすことを重点的に考えたい。他の災害と同様に、費用対効果の面からも個々人の努力に頼るのではなく、行政の直接介入が必要な公共事業と同等に捉えるべきだ。


 フランスでは高温化対策への取り組みに無関心であるとして、政権への批判が強まっていることも強調しておきたい。


 ②につづく

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