果樹の害虫防除対策のポイント①カメムシ




昨年は、西日本を中心に関東以西の広い範囲で、餌となるヒノキ・スギ球果の結実量が多かった。気温の上昇とともに予察における誘殺数も増えており、これらの地域を中心に、6月9日時点で全国24府県から注意報が発出されている。引き続き動向に十分な注意
昨年は、西日本を中心に関東以西の広い範囲で、餌となるヒノキ・スギ球果の結実量が多かった。気温の上昇とともに予察における誘殺数も増えており、これらの地域を中心に、6月9日時点で全国24府県から注意報が発出されている。引き続き動向に十分な注意が必要である。
農研機構 果樹茶業研究部門 果樹虫害基盤グループ長 外山 晶敏
越冬世代飛来の注意報多数 秋に大量の成虫飛来の恐れ
果樹を加害するカメムシ類では、チャバネアオカメムシは関東甲信以南、クサギカメムシは関東甲信以北、ツヤアオカメムシは関東以西の暖地で多く発生する。しかし近年は、温暖化の影響とみられる顕著な変化もみられ、一昨年には東北地域でツヤアオカメムシが多発し、昨年度はリンゴでチャバネアオカメムシによる被害が大きな問題となった。
いずれの種も山林で増殖し、餌不足となった成虫が飛来し果実を吸汁する。飛来消長は、前年から越冬した成虫(越冬世代)による5~7月(前期)と、夏以降に増えた新成虫(当年世代)による8月以降(後期)に分けられる。前期ではウメ、ビワ、モモ、ナシやリンゴの幼果、後期ではナシ、カキ、カンキツなどで被害が問題となる。
果樹カメムシの発生・飛来量は年や地域により大きく異なる。昨年は、東北地方、東海地方において、前年に増えた越冬個体を中心とする飛来・被害が問題となった。本年も、既に6月9日までに24府県から注意報が発出されており、多くの地域で「越冬世代」を中心とする飛来に注意が必要となっている。一方、夏以降の「当年世代」の発生量は、その年の夏のヒノキやスギ球果の結実量によるところが大きい。その結実量は春の花粉飛散量から類推することが出来るが、今年は西日本で飛散量が多かったとする報告がある。これら地域では、豊富な餌の下、さらに猛暑が重なれば増殖が加速される懸念もあり、大量の成虫が秋に飛来する可能性もある。台風などによる突発的な飛来に加え、晩夏以降の飛来にも注意したい。
早期発見・早期防除が重要 薬剤散布は飛来多い夕方に
防除は早期発見・早期防除が基本となる。薬剤散布は、飛来が多くなる夕方に行うと効果的である。発生量が多い時は、殺虫、残効に優れる合成ピレスロイド剤や、吸汁阻害に持続的効果が期待できるネオニコチノイド剤が有効である。ただし、これらカメムシ類に効果が高い剤は天敵にも少なからず影響する。ハダニやカイガラムシなどの多発を招く原因にもなるため、まきすぎには注意したい。








